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      「加藤特許事務所 ~知財 とびうめ便り~」 Vol.01
                        発信日:2008年7月1日
                        発信者:加藤特許事務所
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★ 目 次 ★
  Ⅰ.所長コラム
   ●メルマガ創刊にあたり
  Ⅱ.知財ニュース
   ●平成20年特許法等改正に伴う料金改定
   ●中国・台湾における日本の地名等の商標問題
  Ⅲ.連載 知財講座
   ●特許になるためにはどのような要件が必要か
  Ⅳ.イベント案内
   ●平成20年度 特許法等改正説明会の開催
   ●「平成20年度 知的財産権制度説明会(初心者向け)の開催」
  Ⅴ.事務所からのお知らせ
   ●審査請求の必要性についてのご連絡

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Ⅰ.所長コラム
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●メルマガ創刊にあたり
  長年の念願が叶い、この度、知的財産に関する様々な情報をメールマガジンの形
でご提供させて頂くことになりました。今やこの種の情報は巷に溢れておりますが、
私たちは、お客様に役に立つ血の通った情報をタイムリーに提供して参りたいと思っ
ています。この20年弁理士をやっていて感じるのは「知的財産権制度はだれのも
のか?」ということです。ご高承の通り、知的財産権は、本来禁止されるべき市場
独占を法的に許容するものです。自社開発製品を最大限に保護できるのはこの知的
財産権をおいて他にありません。そして、大切なことは、法的に与えられた権利は
企業の大小に拘らず対等であるということです。特にこれから成長しようとする中
小企業は知的財産制度をもっともっと活用すべきです。知的財産は、皆様の企業が
将来世界的な企業に発展するための大きな武器になりうるのです。
  私たちはそのための情報を今後お客様に提供して参ります。

 本メルマガには、サブタイトルを「知財 とびうめ便り」と致しました。大宰府
天満宮の飛梅は、菅原道真を慕って一晩のうちに京都から大宰府まで飛んできたと
いわれています。そして、毎年、境内の6000本の梅の木の中で一番先に咲き始
めます。
  当所も、この「飛梅」のように、最新の情報を一番先に、この福岡から世界に向
けて(時空を超えて)発信していきたいという思いを込め、本メルマガを創刊致し
ました。
  皆様方の忌憚のないご意見を賜り、より良いメルマガを目指します。どうぞ、宜
しくお願い致します。

代表 弁理士 加藤 久

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Ⅱ.知財ニュース
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●平成20年特許法等改正に伴う料金改定
特許法等の一部を改正する法律等の施行に伴い、平成20年6月1日以降、特許・商標
出願料金、特許料、商標登録料が、改定(引下げ)されました。 その中で特に商標
登録料が、大幅に下がりました。
主な改定は次の通りです。

 ・特許出願料:新料金15,000円(旧15,000円,差△1,000円)
  ・商標出願料:新料金12,000円(旧21,000円,差△9,000円)但し1区分あたり
  ・商標登録料
  ・設定登録:新料金37,600円(旧 66,000円、差△ 28,400円)但し1区分あたり
  ・更新登録:新料金48,500円(旧151,000円、差△102,500円)但し1区分あたり

詳細は、特許庁のWEBサイトをご覧下さい。
URL:http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/tetuzuki/ryoukin/fy20_ryoukinkaitei.htm

●中国・台湾における日本の地名等の商標問題
昨今中国において、日本の地名の商標が現地の個人名・会社名で相次いで出願され、
日本国内各地の自治体が神経をとがらせている。「青森」「鹿児島」「佐賀」「京
都」などが出願されている。青森県は、商標「青森(チンセン)」をようやく取り
下げさせることに成功したものの、今度は見た目がそっくりの「青淼(森の木が全
て水)(チンミャオ)」が出願され、新たな対応に迫られている。台湾においても、
台湾の大手冷凍食品メーカーが「さぬき」の名称を商標登録していた。香川県は、
問題の早期解決を図るため、台湾政府(知的財産局)に要望書を手渡した。昨年末、
現地で開業している日本人店の「さぬきうどん店」が、商標権者より、使用するな
と言われ、看板から「さぬき」を削除した経緯もある。

特許庁は、この事態に対応するため支援策をWEBサイトに掲載している。
URL:http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/kokusai/kokusai2/shohyo_syutugantaisaku.htm

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Ⅲ.連載 知財講座
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第1回:特許要件について

発明が特許として認められるためには、方式的な要件に加え実体的要件として次の
要件を満たすことが必要です。一般にこの要件を特許要件といいます。

1.産業上利用することができる発明であること
「発明」であること、「産業上利用することができる発明」であることが求められ
ます。
「発明」に該当するためには、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるこ
とが必要です。熱力学第二法則などの自然法則に反するいわゆる永久機関などは
「発明」に該当しません。また、自然法則以外の法則(例えば、経済法則)、人為
的な取り決め、数学上の公式、人間の精神活動、ビジネスを行う方法それ自体は、
自然法則を利用したものとはいえず、「発明」に該当しません。

「産業上利用することができる発明」の「産業」は広義に解釈され、製造業のみな
らず、鉱業、農業、漁業、運輸業、通信業なども含まれますが、人間を手術、治療
又は診断する方法などのいわゆる「医療行為」は含まれません。

2.新規性、進歩性のある発明であること
特許制度の趣旨は新規な発明を公開した代償として独占権を付与するものであるた
め、特許権が付与される発明は新規な発明でなければなりません(新規性)。
したがって、発明者本人が出願前に発明を発表したり販売したりして公知になって
しまった場合には特許は認められません。また、通常の技術者が容易に発明をする
ことができたものについて特許権を付与することは、技術進歩に役立たないばかり
でなく、その妨げになるので認められません(進歩性)。

それではクイズです!次の発明は特許性があるのでしょうか。(答えは巻末※※)
1)初めてオセロゲームを考えついたAさんは、特許を取得できる。
2)Bさんは、画期的発明を午前中にホームページに掲載したが、新規性が気にな
りその日の午後に直ちに出願した。

※本メルマガでは、特許および商標について、皆様に是非理解して頂きたい基礎的
な項目をシリーズで掲載していきます。

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Ⅳ.イベント案内
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●平成20年度 特許法等改正説明会の開催
特許庁は6月~7月にかけて、全国で平成20年度特許法等改正説明会を開催する。
参加の場合、事前に申込みが必要となる。参加費は無料。内容は、次の通りです。
(1)通常実施権等登録制度の見直し <特許法・実用新案法>
(2)不服審判請求期間の見直し <特許法・意匠法・商標法>
(3)優先権書類の電子的交換の対象国の拡大 <特許法・実用新案法>
(4)特許・商標関係料金の引下げ <特許法・商標法>
(5)料金納付の口座振替制度の導入 <工業所有権に関する手続等の特例に関する
    法律>

九州では3カ所で開催され、福岡が7月29日(火)、熊本が7月18日(金)、
沖縄が7月2日(水)である。詳細は、特許庁のWEBサイトをご覧下さい。
URL:http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/ibento/ibento2/h20_kaisei.htm

● 「平成20年度 知的財産権制度説明会(初心者向け)の開催」
特許庁は、7月~9月にかけて、全国47都道府県で初心者向けの知的財産権制度説
明会を開催する。知的財産権をこれから学びたい、興味がある方、又は企業等の知
財部門の新人などを対象にした説明会である。特許・実用新案・意匠・商標権制度
の概要(産業財産権関連支援策の概要等を含む)について、特許庁産業財産権専門
官が3~4時間の講義を行う。参加の場合、事前に申込みが必要で、申込み先、問
合わせ窓口は各都道府県の発明協会。参加費は無料。

九州での開催日は、
福岡:8/20,9/17、佐賀:7/30、長崎:9/16、熊本:9/4、
大分:8/21、宮崎:7/8、鹿児島:9/2、沖縄:8/26である。

詳細は、特許庁のWEBサイトをご覧下さい。
URL:http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/ibento/ibento3/ip_event_cal.htm

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Ⅴ.事務所からのお知らせ
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●審査請求の必要性についてのご連絡
2001年10月1日以降に特許出願したものは、審査請求期間が7年から3年に
短縮されています。従いまして、特許出願後、2年経過致しますと、弊事務所より、
皆様に審査請求を行うか否かについてのご連絡を差し上げます。

もっと詳しく知りたい方のために『審査請求Q&A』はこちら→
URL:http://www.kato-pat.jp/archives/shinsa_q_a.pdf

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編集・発行: 加藤特許事務所 -メルマガ事務局-
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TEL:092-413-5378 E-mail:mail@kato-pat.jp
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※※クイズの答え
1)オセロゲームそのものは、自然法則を利用しない人為的な取り決めであり、特
許をとることはできません。(オセロゲームそのものではなく、ゲームに使用する
ゲーム盤やゲーム装置は特許になる可能性があります。なお、「オセロ」は登録商
標です。)
2)新規性は時・分を問題とします。本問のように午前中に発表してしまった場合
は、午後に出しても特許を受けることができません。