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      「加藤特許事務所 ~知財 とびうめ便り~」 Vol.04
                        発信日:2009年1月5日
                        発信者:加藤特許事務所
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 新年、明けましておめでとうございます。
  本年も皆様にお役立ち頂けるメルマガを目指して参ります。

★ 目 次 ★
  1.所長コラム
   ●2009年を希望の年に
  2.知財ニュース
   ●紹介「ある中小企業における特許の重要性」
  3.連載 知財講座
   ●第4回:商標 不登録事由について
  4.イベント案内
   ●平成20年度 外国産業財産権制度講習会開催中
   ●デザインに関する知的財産セミナー開催
  5.事務所からのお知らせ
   ●共通出願様式の受付開始について

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1.所長コラム
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●2009年を希望の年に
  昨年は大変お世話になりました。
  より一層の厳しさが予想される本年は、所員一同今まで以上に気を引き締め、お
客様に満足いただけるサービスを提供して参る所存ですので、どうぞよろしくお願
いいたします。

 さて、昨年多くの企業で「天国と地獄」を見た年ではなかったでしょうか。
  本年は100年に一度と言われる経済危機から立ち直る「希望の年」になるものと期
待しています。キーワードは既成概念に捉われない「新しい発想と躊躇しない行動」
です。

 昨年アメリカのサブプライムローンに端を発した経済危機はあっという間に世界
中を駆け巡りました。金融関係だけではなく自動車産業や半導体産業などの実体経
済への影響も年末から急激に出て参りました。アメリカの繁栄を象徴するとも言え
る自動車産業が存亡の危機にさらされています。また一兆円以上の利益を出してい
たあのトヨタ自動車でさえ、先行きが不安視される状況に陥りました。

 話はかわりますが、先の大恐慌、すなわち1929年頃、アメリカはプロパテント政
策をとっていました。恐慌の原因の一つとして、産業界の自由な活動を規制する知
的財産制度がやり玉にあげられ、これを機にアメリカはアンチパテント時代に突入
しました。
  これがその後のアメリカ産業の弱体化につながったことは有名な話で、結局1985
年のYOUNGレポートを受けたレーガン政権下で、プロパテント政策に180度方向転換
し今日に至っていることはご高承の通りです。

 不況のときこそ、市場が立ち直る際にすぐに動けるしっかりとした開発が必要で
す。不況の中では、世の中を変えるような技術やサービスの出現をだれもが待ち望
んでいるのです。そしてそれをきちんと法的に保護することの必要性をアメリカの
歴史が示しています。

 「どこにもない自社特有の商品、自社特有のサービス」これは 特に、中小企業
においてこそ重要だと考えます。自社特有の商品・特有のサービス これが波乱の
時代において生き延びるための有力な武器となります。

 今苦戦を強いられている企業には、ぜひとも、今まで自動車や半導体等で培って
きた技術をもとに、次の時代の自社特有の商品・特有のサービスを創造して頂きた
いと思います。そのためには「新しい発想と躊躇しない行動」が求められます。
それが、2001年を希望の年にする鍵と考えます。

 そして、我々、加藤特許事務所は、貴社の「どこにもない自社特有の商品、自社
特有のサービス」を知的財産面より最大限サポートすることを2009年の最大目標に
掲げます。

 最後になりましたが、本年度の貴社および皆様方の益々のご繁栄とご健勝を祈念
いたします。

 所長 弁理士 加藤 久

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2.知財ニュース
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●紹介「ある中小企業における特許の重要性」
  所在地は奈良県にあり、「金属のチタン加工」に特化し、チタンメーカとしてパ
イオニア的存在で、高度なチタン加工技術を誇る「ある中小企業における特許の重
要性」について紹介します。

 この会社は、1960年代の創業当初からチタン加工の専門メーカとして開業し、錆
びないというチタンの特性を活かし、化学プラント会社などにチタン製品を納めつ
つ、加工技術の蓄積を図ってきました。1980年代になり、チタンのもう1つの特長
である軽い・強いを活かした製品(眼鏡フレーム、人口骨、スポーツ用品等)で需
要が広がり、「チタンの会社」として認知されるようになってきました。

 このようにして事業が少しずつ発展していく中で、チタン加工の熟練のメンバー
が次々と会社を辞めて、他社に移り、同じような製品が市場に出回り、事業が脅か
されるような事態になってきました。

 そこでこのような事態を打破するためには、即ち他社に作らせないようにするた
めには、特許しかないと考え、「特許の取れるような仕事」をして行こうと奮起し、
新しい技術開発に取り組み、事業を守る特許の取得に力を入れていきました。そし
て取得した特許は、銀行から融資を受けるときも大いに効果を発揮しました。銀行
に対し、今後の事業展開を説明する際、この事業は、特許で守られていますので、
他社より事業を優位に展開すること出来ますと説明し、銀行より高い評価を受け、
無担保で融資を受けられるようになりました。

 現在、この会社は、蓄積したチタン加工技術に磨きをかけると共に、大学や大手
ゼネコン等と連携して、チタンの新しい用途に向けた技術開発を進めています。

 以上、述べた通り、他社と差別化し事業を優位に展開するためには、特許が如何
に有効であるかということを改めて強く感じた次第です。

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3.連載 知財講座
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第4回:商標 不登録事由について
  前回の「第2回:商標 登録要件について」では、商品の普通名称や品質、産地
等だけを普通に表示した言葉は、商標の登録要件を満たしていない(商標として機
能しない)ため、登録できないことをご説明いたしました。これは、誰もが普通に
使用しなければならない言葉を一人の権利者が独占してしまうと、他の人はその言
葉を使用できなくなり、商品の販売やサービスの提供に支障をきたしてしまうから
でした。

 では、登録要件を満たしていても商標登録できない商標もあると思いますか?

 今回は、このような商標についてご説明したいと思います。
  商標法では「不登録事由」として定められているいくつかの規定がありますが、
その一つに、「(1)すでに登録された他人の商標と同一又は類似する商標であって、
かつ(2)商標登録をしようとする商品又は役務の内容がそれと同一又は類似するも
の」があります。

 例えば、他人によって商標「アラフォー」が商品「自動車」について既に登録さ
れている場合、商標「アラフォー」を商品「自動車」について登録することはでき
ません(商標も商品も同一のため)。但し、商標「アラフォー」を商品「菓子」で
登録できる可能性はあります。
(注:商標出願を行う場合は、商標を使用する商品やサービスの範囲を指定しなけ
ればなりません。つまり商標の権利は、出願時に指定した商品やサービスの範囲で
与えられます。)

 その他、不登録事由としては、「国旗、菊花紋章、赤十字などの公的な標章、公
序良俗に違反するおそれがある商標、他人の氏名・名称」などがありますが、これ
は商品やサービスの如何を問わず商標登録を受けることはできません(一部除く)。

 このように、自分の商標が、すでに他人によって登録されていたり、不登録事由
にあたる場合、その商標を使用することはできなくなります。せっかく商標出願を
行っても、その出願が無駄になることもあります。
  それどころか、他人の登録商標を知らずに無断使用して商売を行っていると、商
標権を侵害しているとして訴訟に発展することもあるのです。
  このようなことを未然に防止するためには、出願や使用を開始する前に商標調査
を行うことが重要です。
(注:商標は同一だけでなく類似するものも登録できないため、調査では類似の範
囲まで検討することも必要です。)

 せっかく考え、育てた商標を無駄にしないためにも、商品やサービスのネーミン
グをお考えになる場合には、ぜひこの点にもご注意ください。

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4.イベント案内
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●平成20年度外国産業財産権制度講習会開催中
  特許庁は、昨年9月~本年3月にかけて全国23都市で、実務者向けの諸外国の産業
財産権制度についての講習会を開催中。
  中小・ベンチャー企業に対し、権利取得を支援する一環として、日頃から知的財
産業務に携わっている実務者を対象にした講習会である。また併せて模倣品対策相
談会を開催している講習会もある。参加の場合は、事前に申し込みが必要です。申
し込み先・問合せ窓口は、各都道府県の発明協会になっています。参加費は無料で
す。1月以降の九州での開催都市は、福岡市、佐賀市、那覇市です。

 ○開催日 那覇市:1/30 「外国出願戦略としてPCT制度の活用」
       佐賀市:2/3 「中国における知財戦略:産業財産権の出願と侵害対
             策」と「模倣被害対策相談会」併催
       福岡市:2/26 「外国出願戦略としてPCT制度の活用」

詳細は、特許庁のWEBサイトをご覧ください。
URL: http://www.iprsupport-jpo.jp/soudan/seminar/soudan2.html

●福岡市にてデザインに関する知的財産セミナー開催
  特許庁、九州経済産業局などの主催で、“感性”特にデザインに関わる知的財産
権制度の概要と“感性(デザイン)”を活かす企業の知的財産戦略についてのセミ
ナーが開催される。参加の場合は、事前に申し込みが必要です。申し込み先・問合
せ窓口は、株式会社コムディア(担当 古海)となっています。参加費は無料です。

 ○開催日 福岡市:1/30 「企業におけるデザイン戦略~意匠出願の最新動向を
              中心に~」
             「デザインと知的財産」 
       福岡市:2/26 「模倣品対策への取り組みについて」
             「日本自動車工業会の知的財産への取り組み」

セミナーの詳細、申込書等は、次のWEBをご覧下さい。        
URL: http://www.ip-kyushu.com/fukuoka.html

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5.事務所からのお知らせ
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●共通出願様式の受付開始について
  特許庁は、平成19年11月に日米欧の三極特許庁間で合意した共通出願様式を、本
年1月1日から施行しました。この改正は、明細書の様式および明細書等(明細書、
特許請求の範囲、要約書および図面)の書類の順序の変更であり、これらの書類へ
の発明の実体的な記載内容を変更するものではありません。この共通様式は、国内
出願とPCT出願に適用されますのでご注意下さい。

詳細は、次のWEBをご覧下さい。 
URL: http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/tetuzuki/t_tokkyo/shutsugan/kyoutsusyutugan.htm

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◆加藤特許事務所
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編集・発行: 加藤特許事務所 -メルマガ事務局-
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