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      「加藤特許事務所 ~知財 とびうめ便り~」 Vol.17
                        発信日:2011年3月1日
                        発信者:加藤特許事務所
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 今年の大宰府天満宮の飛梅は、年末よりの寒波の影響で、昨年より1週間遅れの
1月27日に開花しました。今では、約6,000本の梅が見ごろとなっております。
  日本の景気にも春の訪れを期待したいものです。

★ 目 次 ★
  1.所長コラム
   ●「ゆでガエル」に学ぶ

 2.知財ニュース
   ●互換インクカートリッジ特許侵害訴訟、知財高裁でもキヤノン勝訴
   ●森永製菓が名糖産業を商標侵害で提訴

 3.連載 知財講座
   ●第17回:実用新案登録制度の概要

 4.事務所からのお知らせ
   ●審査請求料が現行より約25%引き下がる?
   ●東京オフィス移転のお知らせ
   ●会設大分事務所のご案内

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1.所長コラム
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●「ゆでガエル」に学ぶ

 先日の新聞に「ゆでガエル」の話が載っていました。この「ゆでガエル」の話は
ビジネスの訓話としても良く使われますので、御存じの方も多いかと思います。御
存じではない方のために、どういう話かと言うと・・・

 熱湯が入っている入れ物にカエルを放り込むと、カエルは湯の熱さに驚いて、す
ぐに飛び跳ねて逃げてしまいます(当然と言えば、当然の話です)。
  では、水の中にカエルを入れておいて、その水を徐々に加熱していくと、どうな
るか?

 自分が浸っている水が徐々に熱くなっても、カエルは気が付かない、というので
す。ですので、水が熱湯になっている頃には、カエルは「ゆでガエル」になってし
まっている、という訳です。
  単なる笑い話にも見えますが、よく考えてみると、かなり深い意味合いがある話
です。

 私達に即して考えてみれば、私たちの周りの環境の変化の話になるようにも思え
ますが、結局は、私達の意識、特に、環境の変化に対する意識の問題のことを言っ
ているのではないかと、思えます。

 何か新しい仕事を始めた最初の頃は、何をするにしても慎重に、「これで間違い
はないか」と自問しつつ、行うものです。あるいは、仕事に慣れた頃であっても、
これまでの仕事の種類とは違うような新しい種類の仕事をする場合には、誰しも慎
重になるものです。
  ところが、面白いもので、仕事の中身が一変するのではなく、徐々に変わってい
くような場合だと、仕事に慣れてくると、どうしても気が緩んで、なにかしらミス
をやらかす、ということが多くなってきます。

 つまり、人間も、自分の周囲の環境が一変すれば、それに対応できるように努力
しますが、周囲の環境が徐々に変わっていくようだと、それに気が付かずに、対応
が遅れがちになりやすい、と言えるのではないでしょうか。

 特許事務所での仕事もルーチンワークが多いので、慣れてくると、どうしても気
が緩みがちです。自分が「ゆでガエル」にならないように、気をつけたいものです。

                         副所長 弁理士 天野 広

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2.知財ニュース
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●互換インクカートリッジ特許侵害訴訟、知財高裁でもキヤノン勝訴

 キヤノンは、自社製インクジェットプリンタ用の互換インクカートリッジを中国
から輸入販売していたエステー産業、プレジールなど6社に対して、自社の特許権
(特許第3793216号)を侵害されたとして輸入・販売などの差止めを求めていた訴訟
の控訴審で、知財高裁は、2月8日一審の東京地裁と同様、全面的にキヤノンの主
張を認めて特許侵害と判断し、被告側の控訴を棄却する判決を下した。

 キヤノンの特許発明は、インクカートリッジに設けたLEDの発光有無や発光状
態(点滅など)によって、インクカートリッジのインク残量の有無や、装着位置の
適否などの情報を知らせるものである。

●森永製菓が名糖産業を商標侵害で提訴

 森永製菓(東京)がロングセラーのチョコレート菓子「チョコボール」の商標権
を侵害されたとして、名糖産業(名古屋市)にアイスクリーム「徳用チョコボール」
の販売差し止めや6千万円の損害賠償などを求め東京地裁に提訴したことが2月17日、
分かった。

 現在、第1回口頭弁論中で、名糖は昭和34年から「チョコボール」という商品名
を使用しており、広く認知されている場合に引き続き商標を使える権利(先使用権)
があると反論している。

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3.連載 知財講座
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第17回:実用新案 - 実用新案登録制度の概要

 研究開発によって生み出された成果物について権利を取得したい場合、特許出願
によって権利化を図る方法と、実用新案登録出願によって権利化を図る方法とがあ
ります。

 成果物が基本的な発明あって、長期に安定した権利が必要であるときは、特許出
願による権利化が好適ですが、成果物が模倣が簡単で、ライフサイクルが短いもの
であるとき、早期権利化が必要であるとき、低コストで権利化したいときなどは、
実用新案登録出願による権利化も有効です。

 実用新案登録出願は、出願すれば方式的な審査のみでそのまま登録される無審査
主義が採用されていますので、出願書類や手続に不備がなければ、比較的短期間
(出願から6ヶ月程度)のうちに、実用新案権の設定の登録が行われます。

 ただし、実用新案権の設定登録後、模倣品の出現などにより、実用新案権を行使
(侵害の差止め、損害賠償の請求など)したい状況が生じた場合、まず、実用新案
技術評価書を相手方に提示して警告をしなければなりません。

 実用新案技術評価書は、権利の有効性を判断する材料として、特許庁の審査官が、
先行技術文献に基づいて、実用新案登録出願された考案の新規性、進歩性などに関
する評価を行い、当該評価書の請求人に通知するものです。

 実用新案技術評価書の内容は、実用新案登録請求の範囲の欄に記載された請求項
ごとに、権利の有効性が評価されていますので、従来にない新規なものとして権利
の有効性を積極的に認めていることの評価であれば、これについての権利の行使は
十分に可能であります。

 しかし、他の評価内容であれば、権利行使時に相手方から本件実用新案権につい
て無効審判が提起されることもあり、また、権利を行使したことで相手方に損害を
与えた場合にはそれの無過失賠償責任がありますので、その点は十分に注意する必
要があります。
  従って、模倣品などを発見して実用新案権を行使する必要が生じた場合、まずは
弊所にご相談下さい。

 一方、実用新案登録出願を行った考案が、事業戦略の変更などにより重要性が増
し、長期間安定した権利を取得する必要が生じた場合、元の実用新案登録出願後3
年以内であって所定の条件を満たしていれば、当該実用新案登録出願を特許出願に
変更し、特許権による保護を図ることも可能です。
  この場合の手続の仕方についても、弊所にご相談下さい。専門スタッフが丁寧に
ご説明させていただきます。

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4.事務所からのお知らせ
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●審査請求料が現行より約25%引き下がる?

 特許庁は、来年度平成23年4月以降審査請求料を現行より約25%引き下げる予
算案を提出している。本年度の国会で承認されれば、審査請求料は引き下がります
ので、状況を見守りたい。

●東京オフィス移転のお知らせ

 本年1月11日より東京オフィスを下記の住所に移転しました。
  また、電話/FAX番号も変更となっておりますのでご注意下さい。

新住所
  〒101-0025
  東京千代田区神田佐久間町3丁目21-48
  第2スヂノビル402号
   新電話番号:03-4590-9952 新FAX番号:03-4590-9953

●会設大分事務所のご案内

 平成23年1月21日(金)より、大分県ソフトパーク内の大分ソフィアプラザビル
4階に、日本弁理士会 会設大分事務所が設置され、運営弁理士の一員として
所長 加藤 久が携わっております。
  大分事務所では、4人の弁理士が交代で出勤しており、加藤は4分の1程度の
出勤となっておりますので、ご相談の際は、加藤の出勤日をご確認のうえお越し
下さい。

  所在地 大分県大分市東春日町17-19 大分ソフィアプラザビル4階
    電話番号:097(547)9900(代表) FAX番号:097(533)9900

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◆加藤特許事務所
URL:http://www.kato-pat.jp/

編集・発行: 加藤特許事務所 -メルマガ事務局-
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