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      「加藤特許事務所 ~知財 とびうめ便り~」 Vol.18
                        発信日:2011年5月9日
                        発信者:加藤特許事務所
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このたびの東日本大震災により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
被災地の一日でも早い復興を心よりお祈りいたします。

★ 目 次 ★
  1.所長コラム
   ●震災の対応について思うこと

 2.知財ニュース
   ●特許取得 車が走ると音楽を奏でる道路「メロディーロード」
   ●特許庁ホームページに特許公報類に関するQ&Aを掲載

 3.連載 知財講座
   ●第18回:商標 不使用取消 

 4.事務所からのお知らせ
   ●田代茂夫弁理士が、加藤特許事務所顧問として入所

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1.所長コラム
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●震災の対応について思うこと

 3月11日に発生した東日本大地震による被災で、多くの尊い命が奪われ、大き
な被害が生じたことに、心から哀悼の意とお見舞いを申し上げます。
  被災された方々に対しましては、未だ余震の続く中、各位の生活と安全が確保さ
れますことを心からお祈り申し上げます。

 今回の未曾有の大地震は想像を絶するものであり今もまだ震災の最中である。特
に原子力発電所は日々報道される記事によれば、当初の予想以上に大きなダメージ
を受けていることが判明してきた。
  関係者は日々その対応に全力を尽くしておられるが、その対応を見ているとやは
り後手、後手に回っている感が否めない。

 その理由の一つとして、日本には原子力発電所の大きな事故の専門家がいないこ
とが考えられる。スリーマイル島やチェルノブイリのような事故は日本にはなかっ
た。当然その経験者がいないのは当たり前である。

 しかし、世界にはそのような事故処理を行った経験者がたくさんおり、現在では
多くの専門家が日本を訪れその対応に参加している、自分たちに経験がないという
ことであれば事故が起きた時点で、すぐに世界の経験豊富な専門家を招聘すべきで
はなかったかと悔やまれる。

 同様のことが知的財産権の世界でもある。ほとんどの企業では特許出願等は日常
的に行っていても知的財産権紛争の経験はないはずである。

 もしそういうトラブルに遭遇したときは、自分たちで処理しようと思わずにすぐ
に専門家である弁理士に相談すべきである。手に負えなくなってから相談されると
その処理には多くの時間と費用を要する。できるだけ早い段階で相談を行えばその
処理も軽微な労力で済む。

 加藤特許事務所は知的財産権に関する多数の専門家を擁しているので、知的財産
権に関するトラブルに巻き込まれそうになったときは是非早期にご相談下さい。

                         客員 弁理士 久保 浩三

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2.知財ニュース
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●特許取得 車が走ると音楽を奏でる道路「メロディーロード」

 北海道標津町の土木建設会社篠田興業は4月11日、同社が手がけている音楽を
奏でる道路「メロディーロード」関連の特許第4708354号「メロディーロードおよび
メロディーロード設計プログラム」が3月25日付けで登録されたと発表した。

 メロディーロードでは、アスファルト舗装の道路上に溝を彫り、溝と溝との間隔
によって車両が通過する時の溝とタイヤの接触で発生する走行音に高低をつけ、メ
ロディーを奏でる道路のことで、同社と北海道立総合研究機構が2005年9月に特許
出願していた。

 現在、全国に6箇所施工されており、例えば、北海道知床の「メロディーロード」
は知床旅情を、琵琶湖大橋の「メロディーロード」は琵琶湖就航の歌を、奏でるよ
うになっている。今後も増えていく予定である。

 「メロディーロード」に興味のある方は、下記のURLをご覧下さい。
URL: http://www.melodyroad.jp/

●特許庁ホームページに特許公報類に関するQ&Aを掲載

 特許庁は、ホームページに特許、意匠、商標などの公報類についてのQ&Aを掲
載しました。

 質問としては、特許の公開、公表、再公表、特許、それぞれの公報発行時期の目
安、個別案件の公報発行日の確認などの「公表発行時期に関する質問」、公開、公
表、再公表の特許公報の違いや、手続補正書、訂正審判の結果の公報記載方法など
の「公報の発行に関する質問」、DVD-ROM公報や紙媒体公報の閲覧などの
「公報の閲覧、購入に関する質問」等があります。

 詳細は、下記の特許庁のURLをご覧下さい。
URL: http://www.jpo.go.jp/torikumi/kouhou/kouhou2/koho_faq.htm

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3.連載 知財講座
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第18回:商標 不使用取消

 出願した商標が登録となったからといって安心できません。それは、登録商標は
使用されることが前提なので、登録商標が使用されていないと取り消されてしまう
おそれがあるからです。

 逆に、商標登録したい名称を調査したときに、既に他人によって登録されていて
も、登録商標が長期間使われていないような場合には、登録を取り消すことができ
ます。
  この制度は、登録商標の取消審判とよばれ、3年以上、不使用の状態にある登録
商標について、第三者の請求により登録を取り消す審判を起こすことができます。

 取消審判を請求された場合には、登録商標を使用していることを証明することで、
登録商標を維持させることができます。

 しかし、実際に使用している商標が、登録商標から変形させたものである場合に
は、使用しているとは認められないことがあります。どの程度であれば同じとみな
されるか、その境界はあいまいで、難しい言い方をすれば、「社会通念上同一と見
なされる商標」であればよいとされています。

 例えば、縦書きが横書きになった程度であれば、同じと見なされているようです
が、英語をカタカナにした商標ですと、下記(※1)のように同じと見なされる場
合とそうでない場合があります。

 このように、たとえ登録商標となっても、実際に使用している商標が登録商標を
変形させた場合には、取消審判を請求されるおそれが出てきますので、そのような
無用な心配を避けるためにも、原則は登録商標をそのまま使用されることをお勧め
します。

 ただ、名称は決まったがロゴタイプがまだできていない、しかし、名称自体は早
く登録させておきたいという場合もあると思います。

 商標は先願主義なので、このような場合には、書体を指定しない文字(標準文字)
での出願で出願日を確保されるのがよいと思います。できれば、ロゴタイプが出来
上がった段階で、再度、出願しておくことをお勧めします。

(※1)
・同じと見なされる例
   「ドリーム」と「DREAM」,「テーブル」と「TABLE」

・同じと見なされない例
  「ライト」と「RIGHT」,「サン」と「SUN」
  (ライトはLIGHTやWRIGHT、サンはSONといった別の単語の意味合いを有する)

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5.事務所からのお知らせ
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●田代茂夫弁理士が、加藤特許事務所顧問として入所

 田代茂夫弁理士が、加藤特許事務所顧問として入所することとなりました。
田代弁理士は、商標を専門とする弁理士で、昭和62年4月に特許庁に入庁後、特
許庁審査官、特許庁審判官、特許庁商標課長、特許庁審判長、特許庁審判部門長を
歴任し、その間、国内では、商標法改正のための業務(小売等役務商標の保護制度
の導入)、地域団体商標制度(地域ブランド保護制度)導入のための業務、条約加
盟に向けた業務などに従事しました。

 また海外では、ニース協定の改正会議、商標法条約(専門家委員会、外交会議)、
シンガポール条約(外交会議)、二国間交渉会議、中国商標局との専門家会議、韓
国特許庁との会議、メキシコ知財庁との会議、三極(日・米・欧)商標庁の会議へ
の出席、JICA長期専門家として国際協力のための派遣等々、国内外における商
標実務の経験が多彩にあります。

 特に、今後海外とのビジネスが活発化する中、商標の重要性は益々高まるばかり
ですが、各国における審査は微妙に異なる点があり、それぞれの国に応じた権利化
が必要です。

 国内はもとより海外における経験も豊富な田代弁理士の加入は、多角化、高度化
するお客様のご要望にお応えするため、必ずや大きな活力になるものと確信してお
ります。

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