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      「加藤特許事務所 ~知財 とびうめ便り~」 Vol.22
                        発信日:2012年1月4日
                        発信者:加藤特許事務所
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★ 目 次 ★
  1.所長コラム
   ●新年にあたり

 2.知財ニュース
   ●携帯ナビはパイオニアのカーナビ特許を侵害せず 知財高裁でも敗訴
   ●特許庁の特許戦略ポータルサイトの紹介

 3.連載 知財講座
   ●第22回:特許 先使用権

 4.事務所からのお知らせ
   ●商標審査基準変更のお知らせ

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1.所長コラム
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●新年にあたり

 新年明けましておめでとうございます。
  旧年中、皆様には大変お世話になりありがとうございました。

 世界経済や特許を取り巻く状況が日に日に厳しくなる中で、加藤特許事務所はま
た一つ成長することができました。これもひとえに皆様のご支援の賜物と心より感
謝申し上げます。本年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 2011年は、3月11日の未曾有の大震災や、ギリシャに端を発したユーロ圏の経済
危機、また米ドルの凋落など、経済的にも精神的にも激動の一年でありましたが、
本年は穏やかで平和な年であってほしいと願うばかりです。
 
<何が売れるか>
  さて、特許制度の目的は、優れた発明を世の中に出し、それによって産業の発達
に寄与し、ひいては人類の幸福に貢献することであります。

 ところが現実は如何に素晴らしい発明をして特許を取得しても、それが世の中に
広く活用されるようになるには、気の遠くなるような多くの壁を乗り越えなければ
なりません。名もない企業が、技術の本当の価値を認めて貰い、その商品の出現に
よって損をする既存勢力との戦いに勝ち、さらにその上で、ある意味わがままなお
客様に購入していただかなければなりません。

 優れた技術、優れた商品を持っている多くの中小企業経営者が直面する大きな課
題は、販売ルートの問題です。皆さん例外なく、技術、商品の出口に一番困ってお
られます。ある人が言いました。「今の時代商品の善し悪しなんか二の次ですよ、
お客様に如何に良いものであるかのように見せるか、それですべてが決まるのです。
売り方が全てです。」

 ある意味、確かにそうかもしれませんが、少なくとも私どものお客様は、良い商
品であって、売り方もうまい、そうあって欲しいと思います。

<私の試み1>
  私は数年前から、多くの優れた技術に触れることができる弁理士は、特許取得な
どの権利化のお手伝いだけではなく、知財に裏打ちされたビジネスにもっと関与す
べきだと考え、密かに活動をして参りました。わかりやすく言うと、特許等の知財
をお金にするお手伝いをしてまいりました。

 開発者自身が技術や商品の売り先を見つけ、それをベースに事業を反映させると
いうことは並大抵のことではありません。
  一方で、販売力、資金力、人脈などに劣る、中小企業だからこそ、生まれた素晴
らしい技術を世の中に出さないことには、その技術は一円の価値もないのです。こ
こに私はなんとか力になれないかと考え、行動しました。

 今年は数年にわたり活動してきたその成果がやっと実る予感がしております。遠
くない将来、その技術、商品、具体的にどのように動いたか等を多くの皆様に公表
し、私が築いたルート、経験を皆様のビジネスの成功のために活用していただきた
いと思っています。

<私の試み2>
  それともう一つ進めている大きな構想があります。
  これも主として中小企業の技術の出口を確保するための仕組みですが、ある大手
雑誌社を頭にして、シーズ、ニーズ、ファイナンス、コンサルティング等のビジネ
スを成功させるのに必要な全ての要素を備えたプラットフォームを構築し、今まで
の系列から生まれてきたビジネスから、系列と系列の境界で新しい商品、技術を生
み出し、これをビジネス化する構造であります。

 未だ詳しくご説明することができませんが、皆様に情報を提供することができる
日もそう遠くないと思っています。

 資本主義の崩壊が近いと唱える預言者も多いようですが、世の中がどのような制
度になっても、「世の中に真にかけがえのないもの」であれば、必ずや世の中に受
け入れられることを信じつつ、今年一年目標に向かって邁進して参ります。

 繰り返しになりますが、本年が皆様にとって、穏やかで良き年となりますよう祈
念申し上げます。

                          代表 弁理士 加藤 久

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2.知財ニュース
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●携帯ナビはパイオニアのカーナビ特許を侵害せず 知財高裁でも敗訴

 自動車内で使用する携帯電話向けナビゲーションサービス(ナビタイムジャパン
とKDDIが2005年9月から提供を開始したサービス「EZ助手席ナビ」)に、自
社のカーナビの特許を侵害されたとして、パイオニアが、ナビタイムジャパンにサ
ービスの差止めと10億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、知財高裁は11月30日、
特許侵害にはあたらないとした一審の東京地裁判決を支持し、パイオニア側の控訴
を棄却する判決を下しました。

 一審の東京地裁及び知財高裁ともに、パイオニアの特許は、「機器が一体で車内
に搭載されていること」が要件と判断し、また、「EZ助手席ナビ」は、座標デー
タ等を記録しているメモリが外部のサーバーに内蔵され、そのサーバーと携帯電話
の間の通信でカーナビ機能を果たしており、「サーバーは車内に搭載されておらず、
パイオニアの特許権を侵害していない」と判断しました。

 本判決に興味のある方は、下記のURLより判決文をお読みください。
URL: http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20111201115335.pdf

●特許庁の特許戦略ポータルサイトの紹介

 特許庁は、企業・大学・研究機関等で知的財産権の業務に携わっている方に対し
て、実務上必要な知識の習得を図るために、特許戦略ポータルサイトを開設してい
ます。

 海外の知財制度、国内特許出願、各種知財統計資料等が掲載されており、有益な
知財の情報源です。詳細は、下記のURLをご覧下さい。
URL: http://www.jpo.go.jp/sesaku/tokkyosenryaku_01.htm#kaigai

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3.連載 知財講座
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第22回:特許 先使用権

 先使用権とは、他人の特許権に係る発明が出願される前からその発明を実施また
は事業の準備をしていた者に対して、所定の条件の下で与えられる無償の通常実施
権のことです。

 特許法では先願主義の下、発明を最初に出願した者に対して独占権である特許権
を付与しますが、その出願前から自ら同じ発明をして実施または事業の準備をして
いる者も事業を継続できなくなってしまうため、所定の条件の下で先使用権を認め、
事業を継続できるようにしたものです。

 先使用権が認められるためには、基本的には以下の要件を満たす必要があります。

(1)「特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をした者」または
「特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をした者から知得した者」
  他人の特許権に係る発明とは別になされた発明であることが必要です。

(2)「特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている
者」または「その事業の準備をしている者」
  他人の特許権に係る発明の出願前から「日本国内で」実施または事業の準備をし
ていることが必要です。外国だけで行っているような場合には適用されません。

 また、先使用権が認められる範囲は、その実施または準備をしている発明および
事業の目的の範囲内に限られます。

 なお、先使用権を主張するためには、先使用の事実を証明する必要がありますが、
この立証は実際にはなかなか難しいものがあり、初めから先使用権をあてにして事
業をすることは、経営戦略上必ずしも望ましくないと言えます。

 先使用権に関するご相談・ご質問等がございましたら、お気軽にお問い合わせく
ださい。

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5.事務所からのお知らせ
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●商標審査基準変更のお知らせ

【健康食品(サプリメント)の区分について】
  これまで主成分毎に第29類/第30類にわかれていた区分が、本年1月1日出願分
より「第5類」の1区分に変更となります。
  これにより、主成分によっては2区分にまたがっていた出願が1区分となり費用
が軽減される場合もあります。

 また、従来、主原料を特定し「○○を主原料とする△状の加工食品」と表示する
必要がありましたが「サプリメント」との記載が認められることになりましたので、
商品の完成前で主原料が特定できない段階でも、商標(ネーミング)だけを先行し
て確保することが可能です。

 なお、昨年12月までに登録・出願したものについては、旧区分(第29,30類)が
そのまま適用され、有効ですので、第5類への変更、権利の取り直し等は必要あり
ません。

 出願の際は弊所より改めてご案内・ご説明をさせていただきますが、その他、ご
不明な点などございましたらご遠慮なくお問い合わせください。

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編集・発行: 加藤特許事務所 -メルマガ事務局-
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