本メルマガは、名刺を交換させていただいた皆様にお送りさせていただいております。
 今後の配信がご不要の場合は、お手数をお掛け致しますが、タイトルを「配信停止」に変更いただき、本メールをそのままご返信いただきますようお願いいたします。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
    「加藤合同国際特許事務所~知財とびうめ便り~」 Vol.55

   発信日:2017年 7月 3日   発信者:加藤合同国際特許事務所
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

◇ 目 次 ◇

1.所長コラム
  ◆平野弁理士の入所ご挨拶

2.知財ニュース
  ◆伊藤園のトマトジュースに関する特許、知財高裁で無効との判断

3.連載 知財講座
  ◆第55回:外国出願「特許出願から特許査定までの期間」

4.事務所からのお知らせ
  ◆2017年度初心者向け知的財産権制度説明会
  ◆手続上の瑕疵のある出願の後願となる商標登録出願の審査について
  ◆売買希望の新着商標紹介(アット商標)

5.所員ほのぼの日記
  ◆VR体験

┏━━━━━━━┓
 1.所長コラム
┗━━━━━━━┛
◆平野弁理士の入所ご挨拶

平素は加藤合同国際特許事務所をご愛顧いただき、心より感謝申し上げます。

 さて、今般、平野 一幸 弁理士が、6月より加藤合同国際特許事務所に入所いたしましたので、謹んでご挨拶申し上げます。

 平野弁理士は、昭和59年早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、東京都庁勤務等を経て、昭和63年 弁理士試験合格、平成2年 平野特許事務所を開設しました。
 平成17年度日本弁理士会九州支部長、その他各委員等を歴任し、4度の日本弁理士会特別功労賞を受賞するなど、弁理士業界全体のためにも尽力してきた実績があります。

 実務としては、電機メーカーの最先端技術に関する国内・外国特許出願や中小企業の出願にも長年携わってきた豊富な経験があり、弊所で手薄でございました、電気・機械系の特許出願に関し、大きな戦力になるものと期待しております。

 特許業界は今大きな転換期を迎えており、今後は、中小企業を中心とした知財戦略が重要になってまいりますが、大企業の特許経験が深い平野弁理士の知見と行動力が、大いに活かされるものと確信しております。

 平野 一幸 弁理士に対しましても、私共と変わらぬご厚情を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

  所長 代表弁理士 加藤 久


┏━━━━━━━━┓
 2.知財ニュース
┗━━━━━━━━┛
◆伊藤園のトマトジュースに関する特許、知財高裁で無効との判断

 食品メーカー「カゴメ」が、飲料メーカー「伊藤園」保有のトマトジュースに関する特許(特許第5189667号)の無効を求めた無効審判で、知財高裁は6月8日、カゴメの請求を認め、伊藤園の特許を有効とした特許庁の審決を取り消して、特許を無効とする判断を下しました。

 この特許は、トマト以外の果汁を加えずに濃厚な味わいやフルーツトマトの甘みを出す発明で、2013年に登録になり、伊藤園は2011年以降、この特許発明で製造した「理想のトマト」を販売しているとのことです。

 知財高裁は、審決で「明細書の記載からは、濃厚な味わいやフルーツトマトの甘みを得られる裏付けについて当業者が理解できない」と述べ、特許は無効と結論づけました。
 カゴメは「この特許発明を用いた製品は販売していないが、業界の発展のために提訴した。妥当な判決」とコメントし、伊藤園は「今後、対応を検討していく」としています。


┏━━━━━━━━━┓
 3.連載 知財講座
┗━━━━━━━━━┛
◆第55回:外国出願「特許出願から特許査定までの期間」

 外国で特許による保護を受ける場合は、現地特許庁に特許出願をし、審査を受け、特許査定を受けることとなります。

 特許権の発生が確定するのは、特許査定・特許登録がされてからですので、早く権利が欲しい出願人としては、審査期間が短い方がよいといえます。
 しかし、審査は、現地特許庁が独自に行うのが通常であるため、国ごとに審査期間は異なります。出願国の審査処理状況によっては、ブラジルのように出願から特許査定まで平均で約10年もかかる場合もあります。
 主要国の五大特許庁では審査期間はどのようになっているでしょうか。

(1) 日本
 外国出願をする場合、まずは日本で出願をして、日本での審査結果を考慮して外国出願の対応を決める場合もありますので、日本について見ていきます。

 日本国特許庁(JPO)においては、審査請求から一次審査通知までの期間(最初の拒絶理由が通知されるまでの期間など)は平均9.5ヶ月(2015年データ)、審査請求から特許査定等の最終処分までは15.2ヶ月(2014年)です。
 20年前の1997年の一次審査通知までの期間は平均21ヶ月でしたので、これとの比較では審査期間は半分以下に短くなっております。

 審査を早める制度ですが、審査は、出願人からの出願審査請求を待ってから順番通りに開始されるのが通常ですので、権利化の意思が固まったら、審査請求期限を待たずに早めに審査請求をすべきです。

 また、審査自体を早くするための制度を利用できます。
 詳細は割愛しますが、例えば、通常の早期審査(出願人が中小企業等、外国関連出願など)、スーパー早期審査(実施関連かつ外国関連出願)、優先審査(第三者が実施している場合)、PPH(他国特許庁等の審査結果を活用)が利用できます。
 特にスーパー早期審査の場合は、申請から通常は1ヶ月以内に審査結果が通知されます。  なお、日本での特許査定率は69.3%(2014年)です。

(2) アメリカ
 米国特許商標庁(USPTO)においては、出願から一次審査通知までの期間は平均16.2ヶ月、係属期間は平均25.3ヶ月(2016年)となっています。係属期間とは、特許のみならず放棄を含む最終処分までの期間を指します。

 米国の場合は、審査請求制度がないため、出願順に審査されます。
 審査を早める制度ですが、出願人の健康または年齢(65歳以上)を理由とする珍しい制度があります。その他、早期審査(環境・エネルギー資源開発・テロ防止の出願)、優先審査(庁費用は中小企業の場合2000ドル)、PPHなどが利用できます。
 なお、アメリカでの特許査定率は70.9%(2014年)です。

(3) 欧州
 欧州特許庁(EPO)において、欧州直接出願の場合の一次審査通知(サーチレポート送付)までの期間は5.7ヶ月、審査請求から特許付与までの期間は平均28.9ヶ月(2015年)とされています。

 審査請求期限は、欧州直接出願の場合は調査報告の公開日から6ヶ月、PCT出願の欧州移行の場合は優先日から31ヶ月です。
 審査を早める制度ですが、自発補正機会の放棄(PCT出願の欧州移行の場合)、早期審査(PACEプログラム申請)、PPHなどを利用できます。
 特に欧州特許庁の下では、出願が係属している間に出願維持費を払う必要がありますので、審査期間を短くすることが重要かと思います。
 なお、欧州での特許査定率は47.6%(2014年)ですので、比較的低い数字になっております。

(4) 中国
 中国国家知識産権局(SIPO)においては、審査開始から一次審査通知までの期間は12.5ヶ月(2014年)、審査係属期間は21.9ヶ月(2015年)となっています。

 審査請求期限は出願日(優先日)から3年です。優先日から起算されますので、他国よりも少し期限が短いです。
 審査を早める制度は、優先審査(省エネ環境保護・次世代情報技術など)、PPHが挙げられます。優先審査は中国の省・自治区・直轄知識産権局の審査・コメント・押印が必要であり事実上利用は難しいため、PPHの利用を考慮すべきといえます。
 なお、中国での特許査定率は公表されておりません。

(5) 韓国
 韓国知的財産庁(KIPO)においては、審査請求から一次審査通知までの期間は10.0ヶ月(2015年)、特許・放棄まで含めた最終処分までの期間は平均16.7ヶ月(2014年)となっています。

 審査請求期限は出願日から5年ですが、2017年3月1日以降の出願は出願日から3年に改正されています。
 審査を早める制度ですが、優先審査(第三者が実施している場合等)、PPHを利用できます。
 なお、韓国での特許査定率は68.6%(2014年)です。

 以上となりますが、特にPPHは、五大特許庁以外でも、現在のところ33カ国で利用できます。ブラジルでも2017年4月1日よりPPHが利用可能になりました(ただしIT分野及び自動車関連技術などの分野に限られます)。審査を早めるために積極的に利用を考慮すべきといえます。

 ご不明な点がありましたら、弊所までお問い合わせを頂きますようお願い致します。


┏━━━━━━━━━━━━┓
 4.事務所からのお知らせ
┗━━━━━━━━━━━━┛
◆2017年度初心者向け知的財産権制度説明会

 特許庁は、7月上旬から9月下旬にかけて、全国47道府県で、これから知的財産権制度を学びたい方、知財部門に新しく配属された方などの初心者の方を対象に、知的財産権制度や「知財を経営に活かしている中小企業」の成功事例を紹介し、ビジネスにおける知財の重要性などについての説明会を開催します。

 参加は事前の申込みが必要です。参加費は無料ですので、この機会にぜひご参加ください。九州・沖縄での開催日は、次の通りです。

 福岡:7/5,8/24、佐賀:8/23、長崎:9/6、熊本:9/5、
 大分:9/20、宮崎:8/1、鹿児島:8/3、沖縄:9/21

※詳細は、下記のURLをご覧ください。
[URL] http://www.jiii.or.jp/h29_shoshinsha/


◆手続上の瑕疵のある出願の後願となる商標登録出願の審査について

 芸人「ピコ太郎」(古坂大魔王)氏による歌のタイトル「PPAP」を、まったく無関係な第三者が商標登録出願したことが報道され、話題になったことを、このメルマガでもお伝えいたしました(2月10日 号外)。

 この出願は、元弁理士が運営するベストライセンス社のもので、この会社と元弁理士は出願印紙代を支払ず国全体の1割を占める大量の出願をしています。
 これほどの出願がなされますと、全国の企業や個人が商標登録出願を行っても、同一又は類似となる先願商標として検出される可能性が高く、後に出願した企業や個人が登録を諦めてしまったケースもあったようです。

 この度、特許庁は、「このような問題がある出願が先願としてあった場合、拒絶理由を通知するが、問題がある先願の却下を確認次第、登録査定を行う」としました。
 また、上記の拒絶理由を通知する場合においても、先願となる出願の却下を確認次第、登録査定を行う旨を、拒絶理由通知に明示的に記載するよう、運用を変更する、としています。
 このように、特許庁は、悪意ある出願を問題視しており、対応を図ろうとしています。

 特許庁から拒絶理由通知がきますと不安になるかと思います。
 加藤合同国際特許事務所では、拒絶理由通知がきたときに、今回のケースなのか、それ以外なのか、対応策について、コメントをお付けいたします。

 とはいえ、拒絶理由通知が発送され、応答していると、審査期間が延び、登録が遅くなります。
 いち早く商標登録しておくことをお勧めいたします。
 本件に関して、ご心配な点、ご不明な点等ございましたら、どうぞ気軽にお問い合わせください。


◆売買希望の新着商標紹介(アット商標)

 不要となった商標の売買仲介サイト「アット商標」に6月に掲載された販売希望商標のご紹介です。
詳細は「アット商標」でご確認いただけます。
 興味のある商標がございましたら、気軽にお問い合わせください。

(1)[商標] 図(詳細はサイトでご確認ください。)
   [権利範囲(指定商品)] 被服
   [希望価格] 10万円

(2)[商標] 図(詳細はサイトでご確認ください。)
   [権利範囲(指定商品)] 衣類関係、靴類、等
   [希望価格] 10万円

(3)[商標] インフォマット

   [権利範囲(指定商品)] 印刷物    [希望価格] 600万円

(4)[商標] 麗人
   [権利範囲(指定商品)] 電子出版物、雑誌、新聞、シリーズものの書籍
   [希望価格] 要相談

(5)[商標] IDWORLD
   [権利範囲(指定役務)] 電気機器・身の回り品・衣類関係 等の小売り
   [希望価格] 20万円

【アット商標】 http://www.a-shohyo.com/


┏━━━━━━━━━━┓
 5.所員ほのぼの日記
┗━━━━━━━━━━┛
◆VR体験

 VR(ヴァーチャルリアリティ、仮想現実)という言葉を聞いたことがあるかと思います。
 ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)を頭に装着すれば、360度周囲全体に映像空間が拡がり、あたかもその場所に自分がいるような感覚が得られるというものです。

 先日、家電量販店でVRのデモをやっていたので体験してきました。
 HMDを頭に被せ、後頭部側にバンドを引くと、HMDのパッドが目の周りにしっかりと密着して、頭を振っても安心な状態になります。HMDで頭が少し重くはなるので、さすがに何も付けていない、とまではいかないようです。軽量化はこれからかも知れません。

 デモは2種類を見せて貰いました。
 まずは水中で周囲を小魚が泳いでいる中、クジラが接近するという映像と、次に、SFアニメをモチーフに、その世界に入り込み、ガンをぶっ放すという映像でした。
 VR映像を2Dのテレビで見ることはあっても、実際にHMDを装着して見ると、やはり、その迫力はまったく違います。クジラが接近してくると仰け反りたくなり、高所から飛び降りるときには足がすくみます。

 このVRシステムは、HMDを頭に装着することの他に、ベースステーションと呼ばれるセンサを周囲の壁や三脚で設置しており、装着者の位置をmm単位で把握して映像に反映させるだけでなく、行動範囲を示すようにあたかも透明な壁があるような映像を映し出します。
 そこまで「おもちゃ」に必要な性能なのか、と思ってしまいます。

 HMDは色々なメーカーが販売しておりピンきりのようですが、今回のものはHMDだけで10万円はしますので、そう簡単に手が出せるものではありません。更に、調べてみると、私の自宅のパソコンはかなり強力な方ですが、それでも、グラフィックカードの処理能力が足りないようです。HMDに対応した最新のグラフィックカードを購入するとなると6万以上、10万もするものもあり、もう一台パソコンが買えるくらいです。なんとも贅沢な「おもちゃ」です。

 昨年ぐらいから、IoT(Internet of Things)が流行しており、色々な技術が開発されていますが、まだ一般の家電として家庭に入り込むまでにはなっていないようです。一方、VR技術は相当進み、無料コンテンツも数多く公開されているサイトもあるようですので、今回のVR体験は家庭に拡がる一歩手前まで来ていることを実感しました。

 安価になるにはもう少し時間が掛かるかと思います。お小遣い制の私にとっては、月並みですが宝くじかサッカーくじに期待するしか無いようです。

-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

※メールマガジン配信停止・変更方法について
<配信停止>
 タイトルに『配信停止』をご記入のうえ、空メールをmail@kato-pat.jp宛にお送り下さい。
<配信先変更>
 タイトルに『配信先変更』と、本文に変更後の名称やアドレスをご記入のうえ、mail@kato-pat.jp宛にお送り下さい。

---------------------------------------------------------------------

※メルマガの配信停止・配信先変更について
<配信停止>
 タイトルを『配信停止』に変更しまして、本メルマガをご返信ください。
<配信先変更>
 タイトルに『配信先変更』を、本文に『変更後のアドレス』をご記入いただき、mail@kato-pat.jp宛にメールをお送り下さい。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

★ 編集・発行:加藤合同国際特許事務所 -メルマガ事務局-

 福岡市博多区博多駅前3丁目25番21号 博多駅前ビジネスセンター411号
 URL:http://www.kato-pat.jp/
 TEL:092-413-5378  E-mail:mail@kato-pat.jp
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/