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    「加藤合同国際特許事務所~知財とびうめ便り~」 Vol.62

   発信日:2018年 9月 3日   発信者:加藤合同国際特許事務所
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◇ 目 次 ◇

1.弁理士コラム
  ◆中国の知財国家戦略

2.知財ニュース
  ◆中国当局 森伊蔵、伊佐美の商標無断登録 取り消し決定

3.連載 知財講座
  ◆第62回:商標「分割出願」

4.所員ほのぼの日記
  ◆スポーツの秋

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 1.弁理士コラム
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◆中国の知財国家戦略

 知的財産関連のニュースを見ていると、中国の話題に事欠きません。
 日本では、2002年に「知的財産戦略大綱」が発表され、知的財産立国が宣言されました。
 それから6年後の2008年には、中国で「国家知的財産権戦略綱要」が発表され、中国でも知的財産権に関する取り組みは国家戦略として明確化されました。  今年でちょうど10年が経過しましたが、両国の知的財産戦略の結果の差は歴然のように感じます。

 世界の特許出願件数は、2016年までの10年間で約1.7倍に増加しております。  この主要原因は、10年間で約5倍に増えた中国の特許出願件数であり、いまや世界の特許出願件数の約40%は中国の出願です。なお、この10年の間に、日本の特許出願は13.4%減少しました。

 特に2017年のPCT国際出願件数は、1位米国(約5.7万件)、2位中国(約4.9万件)、3位日本(約4.8万件)でした。日本は前年2位でしたので、ついに中国に追い抜かれてしまいました。中国は、数値目標として2020年には6万件を目指しており、米国を追い抜く勢いです。
 PCT国際出願の出願人上位10社のうち、中国企業は1位ファーウェイ、2位ZTE、7位BOEの3社が占めます。日本は、三菱電機が4位、ソニーは9位です。
 中国は既に世界一の知財大国といえるでしょう。

 この出願増は、科学技術を重視する国家戦略の賜であり、大学への投資金額は日本の約3倍、研究者数も日本の約2倍、世界上位10%に入る被引用論文の件数は日本の約2.5倍、大学の出願件数は日本の約19倍です。

 また、知的財産権の権利行使の場面では、特許の訴訟件数は米国の約2倍、日本の約60倍もあり、中国は世界一の知財訴訟大国ともいえるでしょう。
 2014年には北京・広州・上海に、知財専門の裁判所である知識産権法院が設立されました。さらに、急増する知的財産権に関する訴訟に対応するため、2018年までに16カ所の知的財産法廷も設立されています。

 その他、中国商標法においては、2014年の改正により、法定賠償額の上限が日本円相当で約800万円から約5000万円に引き上げられており、懲罰的な賠償制度(3倍賠償)も設けられています。専利法においても、法定賠償額の上限の引き上げや、懲罰的な賠償制度の導入も検討されております。賠償額が高額であれば、それだけ権利を侵害しないようにする動機付けになり、権利の強化に繋がるといえます。

 このように、中国の知財国家戦略は10年間で目覚ましい成果をあげており、その効果は今後も随所に現れていくことでしょう。
 資源も国土も乏しく、人口も減少しつつある日本としては、さらに知恵を振り絞って高付加価値の製品・サービスを作っていくしか道はないと思います。
 そのためには、知的財産の価値を見直し、その経営上の位置づけを高め、創造・保護・活用のサイクルを戦略的に回していく必要があると感じております。

 弊所としましては、まずは1割経済である地元九州から知的財産の成果を出し、ひいては日本全体の競争力を高められるよう貢献していきたい所存でございます。
 特に中国は地元九州の企業にとって、益々海外進出の重要な国になるかと思います。弊所は、このようなことを踏まえ、親日的な中国特許事務所との良好な関係を日々築いております。お気軽にご相談下さい。

  弁理士 南瀬 透


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 2.知財ニュース
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◆中国当局 森伊蔵、伊佐美の商標無断登録 取消し決定

 8月2日の日本経済新聞によると、人気が高い鹿児島県の芋焼酎「森伊蔵」「伊佐美」の2銘柄について、中国で無断で商標登録されていた問題で、中国商標局が商標登録の取消しを決定したことがわかりました。この2つの商標は、関係のない日本国内の企業が商標登録をしていましたが、それぞれの焼酎を製造する森伊蔵酒造(鹿児島県垂水市)と甲斐商店(同伊佐市)が取消しを求めていました。

 今回の取消しの決定を受け、両社とも中国商標局に対して商標登録出願を行ったとのことです。両社はこれまで、この商標登録に対して中国当局に異議申し立てを行っていましたが、今回は一定期間使用がない商標登録を取り消すことができる制度を活用した請求が認められたとのことです。


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 3.連載 知財講座
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◆第62回:商標「分割出願」

 商標登録における分割出願についてご説明いたします。
 特許の分割出願は、とびうめ便りVol.35で取り上げましたが、商標登録にもある制度です。

 商標法では、第10条にて「二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる」と規定されています。また、「新たな商標登録出願は、もとの商標登録出願の時にしたものとみなす。」とあり、分割出願は、出願日が親出願の日に遡及します。

 分割出願は、複数の商品やサービス(役務)にて出願し、審査で拒絶を受け、意見書にて審査官と争う際に、登録したい商品やサービス(役務)全部での登録を目指すときに用いられます。

 例えば、指定商品「化粧品,せっけん類」について商標「A」を出願したときに、「化粧品」のみが、商標「A”」を引例として拒絶されたとします。
 一つの方法として、指定商品から「化粧品」を削除する補正の手続きを取れば、拒絶の理由は解消されるので、「化粧品」についての権利化はできませんが、「せっけん類」については登録することができます。(登録を要する商品が「せっけん類」のみの場合は、この手法が望ましいと言えます。)

 しかし、「化粧品」と「せっけん類」の両方が登録を要する商品である場合には、指定商品を削ることなく意見書にて反論することになります。この場合、「化粧品」にかかる拒絶の理由が解消しなければ、登録できたはずの「せっけん類」も一緒に登録できなくなってしまいます。

 そこで、この出願から「化粧品」を削除して「せっけん類」を残す補正をし、「化粧品」については分割出願して再度争うことで、「せっけん類」の登録を確保した上で、全体の登録を目指すことができます。

 このような分割出願ですが、平成30年6月9日に改正され、分割の要件が強化されました。  その内容は、「親出願の出願手数料を納付していなければ、出願日が親出願をした日に遡及しない。」というものですが、これは、出願の印紙代を支払わずに大量に出願する個人や企業が、出願の延命を図るために分割出願を繰り返すことへの対応策です。

 分割出願(子出願)の出願日は、親出願の日に遡及します。そのため、親出願よりは遅いが、子出願より早い第三者の出願であっても、子出願の方が先願となることから、第三者の審査は、子出願の結果待ちとなってしまいます。
 また、昨年は半年程度だった審査の待ち期間が、現在、8ヶ月から10ヶ月に遅延していますが、上述の大量の分割出願が、この要因の一つになっているようです。法改正により、これらの問題の解消が期待されます。

 分割出願は、どのようなケースで行うのがよいか、わかりにくいかと思います。弊所では、拒絶理由通知を受けた際、これを行った方が望ましいと思われるケースについては、対応方法の一つとしてご案内しております。


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 4.所員ほのぼの日記
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◆スポーツの秋

 記録的な猛暑の今年の夏も終盤にさしかかり、スポーツの秋が到来します。

 皆様は、日頃何か運動はされていますか?
 私は、毎週土曜日に草野球で汗を流しています。

 といっても、現時点ではチームのメンバーは全部で9人、試合経験なしの、強いのか弱いのかもわからないレベルですが・・・

 草野球をはじめたのは、仕事内容がデスクワーク中心であることから、運動不足解消のためにと知人に誘われたのがきっかけです。

 もともと学生時代には野球サークルに所属していたこともあって、体力には少し自信はあったのですが、ここ数年まともに運動していなかった反動から最初はほとんど動けず、最近になってまともに練習についていけるようになってきたところです。

 しかしこのチーム、めちゃくちゃ朝が早い!
 しかも練習場が遠い!
 渋滞なしで車で40分!
 朝5時半起きで平日よりも早い!
 せっかくの花金を楽しめない!

 ということで、今年の6月に練習場の近くに引っ越しました。

 今のところ練習だけでも充分楽しめていますが、今年はメンバーを増やして練習試合ができればなあと思う今日この頃です。

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